法人破産
法人破産の申立てまでのスケジュール
1 直ちに破産手続開始の申立てをする場合
(1) 破産手続開始の申立ての方針決定と申立日の決定
たとえば、すでに資金繰りが苦しく、取引先への買掛金の支払いを怠っているような場合には、破産手続開始の申立てを可及的に速やかに行う必要があります。なぜなら、そのような状態に陥っている場合には、債権者が業を煮やして直接取り立てに来ることもあり、そこで偏波弁済を強いられ、それにより優先的に支払われるべき給料債権の支払いが不能になってしまったりするおそれがあるからです。
とはいえ、資金繰りが苦しい法人にとって、申立ての費用(申立ての代理を依頼する弁護士の費用も含みます。)の確保は容易なことではありません。そのため、破産手続開始の申立てを、大口の売掛金の回収日以降とせざるをえないような場合もあります。
したがって、法人破産の方針が固まったら、費用確保の都合も考慮して申立予定日を決め、そこから逆算してスケジュールを組む必要があります。
(2) 申立方法の選択
ア 自己破産の申立てによる場合―取締役会決議等
株式会社が自己破産の申立てを行う場合、原則として、破産手続開始の申立てについての取締役会決議を得ておく必要があります(取締役会のない株式会社の場合は、取締役の自己破産申立てについての同意書が必要です。)。
この取締役会の開催は、情報が漏洩しない限度でできるだけ早く行っておくことが望ましいです。
イ 準自己破産の申立てによる場合
もっとも、たとえば取締役会を開催すると破産手続開始の申立てについての情報が洩れ混乱が予想されるなど緊急を要し取締役会を開催する時間的余裕がない場合には、例外的に、取締役会決議を得ずに、取締役が取締役としての地位に基づいて、株式会社の破産手続開始の申立てをすることが認められています(破産法19条1項2号)。
(3) 疎明資料の準備と保全の手配
ア 疎明資料の準備
申立書の編綴順序について、東京地裁破産再生部では、次の順序によることとしています。
- 破産申立書
- 登記事項証明書
- 取締役会議事録(または同意書)
- 委任状
- 債権者一覧表
- 債務者一覧表
- 財産目録
- 陳述書
- その他疎明資料
イ 保全の手配
破産手続開始の申立に伴い、信用不安が一挙に表面化し、取引先が商品の引き上げをしたり、工場用資材を持ち去ったりする場合が往々にしてあります。そのため、法人としては、起こりうる混乱をあらかじめ想定し、保全の措置を執っておく必要があります。
(4) 破産手続開始申立ての手続
ア 申立書及び添付書類の提出
イ 債権者審尋
東京地裁破産再生部においては、債務者自身の審尋は行わず、申立人代理人と裁判官の面接を行うこととしています。
ウ 破産手続開始決定
2 事業譲渡をする場合
信用不安がまだ表面化する前の段階においては、破産手続開始の申立て前に、事業譲渡を行うことを検討する余地もあります。
これにより、従業員の雇用先の確保と取引先の確保、資産の散逸を防ぐことができます。
なお、この譲渡にあたっては、正当な対価が支払われなかったと評価されると、債権者を害する詐害行為となり、破産手続開始後は、破産管財人によって否認されるおそれがあります。そこで、公認会計士に依頼して「事業価値算定報告書」を作成してもらいあらかじめ各金融機関の内諾を得ておくなどの配慮を要します。
弁護士費用について
11-1 破産・会社整理・特別清算、会社更生の申立事件
着手金
資本金、資産及び負債の額、関係人の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じ、それぞれ次に掲げる額
(1)事業者の自己破産 | 50万円以上 |
---|---|
(2)非事業者の自己破産 | 20万円以上 |
(3)自己破産以外の破産 | 50万円以上 |
(4)会社整理 | 100万円以上 |
(5)特別精算 | 100万円以上 |
(6)会社更生 | 200万円以上 |
報酬金
1に準ずる(この場合の経済的利益の額は、配当試算、免除債権額、延払いによる利益、企業継続による利益等を考慮して算定する)
ただし、前記(1)、(2)の自己破産事件の報酬金は免責決定を受けたときに限る。
11-2 民事再生事件
着手金
資本金、資産及び負債の額、関係人の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じ、それぞれ次に掲げる額
(1)事業者 | 100万円以上 |
---|---|
(2)非事業者 | 30万円以上 |
(3)小規模個人及び給与所得者等 | 20万円以上 |
執務報酬
再生手続開始決定を受けた後民事再生手続が終了するまでの執務の対価として、協議により、執務量及び着手金又は報酬金の額を考慮した上で、月額で定める報酬を受けることができる。
報酬金
1に準ずる(この場合の経済的利益の額は、弁済額、免除債権額、延払いによる利益、及び企業継続による利益等を考慮して算定する。なお、具体的な算定にあたっては執務報酬の額を考慮する。)
ただし、再生計画認可決定を受けたときに限り受けることができる。
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