不動産問題

不動産問題でお悩みではありませんか

  • マンションを経営しているが、賃借人が家賃を滞納しており困っている
  • アパートの部屋を借りているが、家賃の支払いが1日遅れただけで、家主から契約解除の通知がきた
  • テナントの使用目的を事務所と定めたのに、無断で改装して飲食店を開業されてしまった

 ここでは、借家の立退き請求事件について概要をご説明いたします。

借家の立退きの流れ

 建物の賃貸人が立退きを要求する場合として、

  1. 「一時使用の賃貸借」の場合
  2. 賃貸人が「立ち退かせるにつきなんらかの理由がある場合(賃借人の債務不履行で契約を解除したり、期限の定めがある場合、または期限の定めがない場合に賃貸人の自己使用等のため契約を解消する場合)」
  3. 賃貸人が「立ち退かせるにつきなんら理由がない場合」

の3つに分けられます。
 まず、ⅰの場合に一時使用の賃貸借であることが明らかであれば、立退き料の支払いなく立ち退かせることが可能です(借地借家法40条)。
 次に、ⅲの場合は、訴訟においても立退きを命ずる判決を得ることは不可能ですから、この場合は当事者間の話合いによって賃借人が納得した場合のみ立退きが可能となり、多くの場合に立退き料の支払いが条件とされます。
 最後に、ⅱの場合には、債務不履行の有無や正当事由の有無について話合いや裁判における立証が必要となり(ただし、予め定期借家契約(借地借家法38条)としている場合には、別段の正当事由がなくても定めた期限通りに借家人を立ち退かせることができます。)、その有無、強弱の見通し、話合い、判決によって対応が変わってきます。

立退きを求める手続的要件

 賃貸人が賃借人に対し、借家の立退きを求める一般的場合(すなわち、一時使用の賃貸借や債務不履行等による場合以外の場合)には、

① 一定時期にする更新拒絶、解約申入れの手続的要件
② 正当事由(借地借家法28条)が必要です。

 ここでは、①の手続的要件について説明します。

(1) 賃貸借契約について期限の定めがある場合

 期限満了前6か月から1年までの内に更新拒絶の通知をし、期限がきたら立ち退いてもらうことになります(借地借家法26条1項)。
 ただ、上記通知をしたにもかかわらず、なおも期限経過後の賃借人が借家の使用を継続する場合には、期限後あまり日時を経ないうちに使用に対する異議の通知をしておかなければ、従前の賃貸借と同一の条件で(ただし、期限の定めのないものとなります。)さらに賃貸借をしたものとみなされてしまいます(借地借家法26条2項)。

(2) 賃貸借について期限の定めがない場合

 賃借人へ解約の意思表示が到達してから6か月経過後の日を定めて通告することによって、その定めた日に解約されることになります(借地借家法27条1項)。
 そして、この場合にも、解約後あまり日時を経ないうちに借家人の使用に対する異議の通知を出しておかなければ、従前の賃貸借がなお継続することになってしまいます(借地借家法27条2項)。

(3)賃借人に債務不履行(約束違反)がある場合

 まず、賃貸人において、賃借人に対し約束違反の状態を解消するよう要求し、それでも賃借人が改めない場合に、初めて契約を解除できるのが原則です(民法541条)。
 債務不履行の典型は、家賃の不払いです。
 しかし、家賃の不払いがあったのを理由に、家主がすぐに契約を解除できるわけではありません。借家契約のように家主と借家人間の信頼関係が基礎となっている継続的な契約関係にあっては、わずかな義務違反により契約関係を終了させるような結果を生じさせることは不合理だからです。したがって、家主が借家人の家賃不払いを理由に解除できるのは、それが家主と借家人間の信頼関係を破壊する程度の義務違反でなければならないと解されています(その他の借家人の義務違反の場合についても、家賃不払いと同様に解されています。)。
 この場合には、改めるのに相当な期間を定めて、「その期間内に約束違反を改めない場合には契約を解除します」という内容の条件付き解除の通知をするのが普通です。
 また、約束違反を改める余地がない場合には、改めるための相当期間をおく意味はありませんので、直ちに契約解除の通知をすることになります。

正当事由の内容について

 次に、②の「正当事由」(借地借家法28条)について説明します。
 民法の規定によれば、賃貸期間の定めがある場合は、期間満了により借家契約は終了しますから、契約更新がない限り、借家人は家屋を立ち退かなければなりません(民法616条、597条1項)。また、期間の定めがない場合は、家主はいつまでも解約の申入れをすることができ、解約申入後3ヶ月を経過すれば借家契約が終了することになっています(民法617条1項2号)。
 しかし、民法の規定をそのまま適用すれば、借家人の居住する権利は極めて不安定なものとなってしまいます。そこで、借地借家法が制定され、家主が解約申入れ(または更新拒絶)するには「正当の事由」を必要とすることになり(借地借家法28条)、借家人の居住する権利が家主の一方的な都合から守られることになったのです。
 「正当事由」の有無の判断にあたっては、家主側の事情(たとえば、建物を必要とする理由、現住居の状態、家族数、職業、資力など)と借家人側の事情(たとえば、借家の構造、家族数、職業、資力、転居先の有無など)、その他借家関係から生じた事情(たとえば、契約締結時の事情、立退き交渉における双方の対応など)など、一切の事情を考慮し、双方の必要性の程度を比較衡量することになります。
 そして、家主が解約申入れ(または更新拒絶)をして家屋の立退きを求める場合、立退き料の提供が正当事由の有無の判断にあたり、正当事由を補完する事情となります。すなわち、立退き料は、家主が借家契約の終了を理由に家屋の立退きを求める場合、解約申入れまたは更新拒絶に必要な正当事由が不十分な場合において、正当事由を補完する家主側の有利な事情として位置づけられるのです。
 したがって、双方の一切の事情を考慮した結果、家主側の家屋を必要とする程度が高く、正当事由が十分備わっていると判断されれば立退料の支払は不要となり、他方で、正当事由ありと認めるには不十分と判断されれば、家主と賃借人双方が必要とする程度の強弱により、正当事由を補完するに足る立退き料の額が決められます。
 このように、立退き料の要否及び額は、家主と借家人の具体的な事情いかんによりますので、賃貸家屋の構造・規模、賃貸期間の年数、家賃の額、敷金・礼金の有無などを基準として普遍的な算式によって立退料を算出することは事実上困難です。したがって、弁護士が家主(あるいは賃借人)から借家立退き請求の事件をご依頼いただいた場合、家主の立退き請求に正当事由が認められる可能性がなければ、依頼された事案と類似の裁判例を調査し、いくら立退料を提供することで正当事由を補完できるかを検討して、相手方との交渉に当たることになります。

弁護士費用について

1 訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件

着手金

事件の経済的な利益の額が300万円以下の場合 経済的利益の8% 備考1
300万円を超え3000万円以下の場合 5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の場合 3%+69万円
3億円を超える場合 2%+369万円

事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。

着手金の最低額は10万円

報酬金

事件の経済的な利益の額が300万円以下の場合 経済的利益の16% 備考1
300万円を超え3000万円以下の場合 10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合 6%+138万円
3億円を超える場合 4%+738万円

事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。

2 調停事件及び示談交渉事件

着手金
報酬金
1に準ずる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。 備考1

示談交渉から調停、示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、1又は5の額の2分の1

着手金の最低額は10万円

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