商標権
商標権侵害でお悩みではありませんか
- 自社の商品を商標登録しているが、第三者が、指定商品について、無断でその商標を使用していることが分かった
企業にとってブランド戦略は極めて重要です。また、地方創生が叫ばれる中、地域活性化の観点からも、商標権保護の重要性が高まっています。ここでは、商標権侵害訴訟の概要をご説明いたします。
商標権侵害訴訟の種類
商標権侵害訴訟の典型は、商標権者又は専用使用権者が原告となって、当該商標権を侵害する者又は侵害するおそれがある者を被告として、侵害行為の差止めを請求する訴訟です(商標法36条1項)。
また、商標権者又は専用使用権者は、差止請求とともに廃棄除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができるし(同条2項)、業務上の信用を回復するのに必要な措置を請求することもできます(同法39条の準用する特許法106条)。
商標権者又は専用使用権者の商標権を侵害した者に対する金銭請求は、損害賠償請求権(民法709条)、不当利得返還請求権(民法703条)又は補償金請求権(商標法13条の2)です。
これらの訴訟を「商標権侵害訴訟」と呼びます。
商標権侵害の要件
商標権者は、指定商品(又は指定役務。以下同じ。)について登録商標の使用をする権利を占有します(商標法25条)。したがって、第三者が、権原なく指定商品について登録商標を使用した場合は、商標権を侵害することになります(同法36条)。
そこで、商標権侵害訴訟においては、商標の類否、商品(又は役務)の類否、商標の使用か否かが主たる争点となります。
商標の類否
商標の類否判断についての最高裁判所判例をまとめると、商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かにより決すべきであるということです。
そして、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してその商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきであるとされています。
商品・役務の類否
商品の類否についての最高裁判所判例をまとめると、商品に同一又は類似の商標を使用した場合に、同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがあるか否かによって、商品の類否が決せられることになります。
そしてここでも、通常同一営業主により製造販売されているか、同一店舗において取り扱われることが多いかといった、取引の実情が考慮されています。
商標の使用
商標法法2条3項は、「使用」についての定義規定です。
これによれば、商品商標の場合の「使用」とは、
- 商品又は商品の包装に標章を付する行為
- 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡・引渡し・譲渡又は引渡しのための展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じて提供する行為
- 商品に関する広告・価格表・取引書類に標章を付して展示・頒布、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為
- 商品の譲渡・引渡しのために音の標章を発する行為(音の商標の場合)
等をいいます。
また、役務商標の場合の「使用」とは、
- 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為
- 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為
- 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為
- 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為
- 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為
- 役務に関する広告・価格表・取引書類に標章を付して展示・頒布・又はこれらを内容とする用法に標章を付して電磁的方法により提供する行為
- 役務の提供のために音の表彰を発する行為(音の商標の場合)
等をいいます。
損害論の審理
商標権侵害を理由とする損害賠償請求は、民法709条を根拠条文とするものです。
民法709条によって請求できる損害は、積極的財産損害、消極的財産侵害(逸失利益)及び無形損害(慰謝料)がありますが、商標法38条は、このうち侵害による権利者の販売減少を理由とする消極的財産損害についての損害算定の特則と位置付けられます。
商標権者は、①商標法38条1項に基づき、商標権者において侵害行為がなければ販売することができた逸失利益を損害額とし、②同条2項に基づき、侵害者の利益の額を損害額と推定し、③同条3項に基づき、登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を損害額とし、又は④民法709条による得べかりし利益を請求することができます。
仮処分について
(1) 差止めの仮処分とは
商標権に基づく差止めの仮処分は、商標権に基づいて債務者の使用行為の差止めを命ずるもので、債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる「仮の地位を定める仮処分命令」です(民事保全法23条2項)。これに合わせて、侵害品の廃棄請求権を被保全権利として、当該商品の執行官保管が命じられることも多いです。
(2) 仮処分の手続
商標権に基づく差止め仮処分の申立てがされると、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ発令をすることができない必要的審尋事件として取り扱われます(民事保全法23条4項)。
申立て後、1ないし3週間程度で第1回審尋期日が設けられ、本案訴訟より早いペースで審尋期日が指定されます。
仮処分の発令には、被保全権利の存在及び保全の必要性が要件となります(同法13条1項)。
仮処分手続は、迅速性の観点から疎明で足り(同条2項)、疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければなりません(民事訴訟法188条)。したがって、書類提出命令や在廷しない証人等の尋問を利用することはできません。
(3) 仮処分命令の発令
被保全権利及び保全の必要性の疎明があると認められる場合には、仮処分が発令されます。仮処分命令の担保(民事保全法14条)は、仮処分により債務者に生じると予想される損害の額を基準に定められ、債権者にのみ担保を立てさせる決定の告知がされます(民事保全規則16条2項)。
弁護士費用について
1 訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件
着手金
事件の経済的な利益の額が300万円以下の場合 | 経済的利益の8% | 備考1 |
---|---|---|
300万円を超え3000万円以下の場合 | 5%+9万円 | |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 3%+69万円 | |
3億円を超える場合 | 2%+369万円 |
※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
※着手金の最低額は10万円
報酬金
事件の経済的な利益の額が300万円以下の場合 | 経済的利益の16% | 備考1 |
---|---|---|
300万円を超え3000万円以下の場合 | 10%+18万円 | |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 6%+138万円 | |
3億円を超える場合 | 4%+738万円 |
※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる。
2 調停事件及び示談交渉事件
着手金 報酬金 |
1に準ずる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。 | 備考1 |
---|
※示談交渉から調停、示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、1又は5の額の2分の1
※着手金の最低額は10万円
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